sunny saki's diary

すべての激務労働者に捧げるブログ

シグナル


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夜勤明けの朝、知人のおじさんを乗せて市内にある大学病院に向かいます、数年前に治療した癌が再発し入院するためです。高齢のため今回は手術はせずに投薬での治療となりました。

おじさんは母親の知人で、幼少の私を我が子のように可愛がってくれ、内緒で高価な玩具を買ってもらったこともあります。それなりの家の人(お金持ち)で、これまた家族には内緒でボートを所有していたのは今も秘密です

会社一筋の父親と違う、自由でユーモアのある実業家、今でこそ二人がどれだけの人間だったのかわかりますが、当事は楽しいことが一番で遊びに夢中な子供には、おじさんは大切な遊び友達の1人だったのです

病院に向かう道は終日渋滞することが多く原因はとにかく信号が多い。自分の出勤時も、これでもかと信号は赤に変わり、夜中であれば3分もかからない距離に昼間は10分以上も要するのだ(興奮)

おじさんは”どれくらいかかる?゛と私に尋ね゛信号次第かな”と答えると、小さく頷いて目を閉じてしまった。私が思うに今回の入院から退院出来る可能性は極めて小さい、もしかすると゛近いかも”などと感傷的な気持ちにもなる

おかしなことに道はガラガラ、忌々しい信号はタイミングよく青信号になり病院は目の前。こんな時は赤でいいんだよ、と訳のわからない腹を立ててるうちに到着。

自分からスタコラ歩いて専門病棟に向かうおじさん、覚悟を決めた男の背中はカッコいいなどと思っていると、担当医が出迎える。女の先生、女医さん。おじさんは振り向き様に゛ありがとナ”と言うと先生に手土産げを渡し、ペラペラペラペラ喋りだしエレベーターに消えた。

なんなんだあの顔はデレーッとしたあの顔は、私の持つイイ男のイメージとはかけ離れた、あの姿はただの○○○オヤジではないか。それからしばらくして彼の顔を見ることとなるのですが 、今思えば゛ありがとナ”ってカッコよかった