お手伝いしましょうか(続3)
およそ半年後、久しぶりにK子さんを訪ねます。私の勤めている会社は食品の製造・卸業なので、稀に過剰製造が発生し、行き場のない商品は従業員のお土産となります。
この日は土用の丑の日で豪華な゛鰻重”が慰労もかねてお持ち帰りとなりました。K子さんを訪ねるきっかけにも いいタイミングです。
久しぶりに会ったK子さんは変わりなく、手土産にも大喜びで、帰り際には何度もお辞儀されるので お辞儀合戦になってしまいました
こんなお付き合いが数年に渡って続いたある日、いつものように立ち寄ってみます。階段から2階のK子さんの部屋に向かうと、一人の高齢の女性が、K子さんの隣の部屋の表札をじっと見つめています。
何?と思い横を通りすぎようとした時、それがK子さんだと気付き声をかけようと思ったのですが出来ませんでした。それは私が知っている彼女とは別人のように感じたのです
戸惑いながらも 挨拶をすると彼女はゆっくりと私の方を見て言いました、この部屋の方は引っ越されたんですか?私は そうですね、少し前に と答えるのが精一杯でした。
その部屋を妹夫婦が引っ越したのは もう何年も前のことでしたので。(続)